Web3.0とは何か?仮想通貨やブロックチェーンとの関係も解説!

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近年「Web3.0」というワードをよく耳にします。Google検索でもWeb3.0が2021年後半から大きく伸びており、ブロックチェーンやNFT、仮想通貨(暗号資産)、メタバースといった関連用語について学びたい人も多いようです。

web3.0

しかしWeb3.0という単語は知っているものの、その意味や内容についてはっきりと答えられる人は少ないかもしれません。

そこで本記事では、Web3.0についての具体的な内容や仕組みを解説していきます。
基本的な概要を中心に、なぜWeb3.0が注目されているかについても紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

Web3.0の定義とは

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Web3.0は、新しい製品やサービスではなく「概念」です。
カタカナでは「ウェブスリー」と読むことが多く、「インターネットの第3段階」と考えるとわかりやすいでしょう。

シンプルにまとめると、これまでひと握りの巨大テック企業によってほとんど独占状態だった「情報」を、テクノロジーの力を活用して分散管理することで、「情報の主権」を民主的なものにしていこうというインターネットの次世代トレンドです。

次からは、インターネットの初期段階、つまり「Web1.0」の時代から「Web3.0」という概念が生まれるまでを順番に解説します。

Web1.0の時代:一方向の情報発信

インターネットの最も初期の段階が「Web1.0(ウェブイッテンゼロ)」です。
1995〜2005年あたりまでを指すことが多く、「ホームページ時代」とも呼ばれます。

ここからインターネットはスタートし、さまざまなサービスや製品、技術革新によって少しずつ進化していく初期段階です。
Web1.0では、個人がWWW(ワールドワイドウェブ)に自分で作ったウェブサイトを公開し、情報を発信していました。

公開される情報はHTMLを使ったテキストが主体で、動画はもちろん画像さえほとんどありません
閲覧者も、URLを知らなければ自由にアクセスすらできないという不便なものでした。
コミュニケーションはメールが中心だった時代です。

Web2.0の時代:双方向のコミュニケ―ション

Web1.0はさまざまなサービスや製品、それらを支える技術が登場し、気がつくと次世代へと姿を変えていました。
「Web2.0(ウェブニーテンゼロ・ウェブツー)」の時代です。

2000年代半ばから現在(2022年)も続いています。
より直感的で自由にインターネットを使えるようになり、情報の検索や閲覧はもちろん、ユーザー同士の柔軟なコミュニケーションが可能となった時代です。

GoogleやYahoo!のような検索エンジンのほかにも、TwitterやFacebook、Instagramといった「SNS」が普及し、誰もが情報の発信者にも受け手にもなれます。

発信できる情報も、テキストだけでなく高画質な画像や動画までカバー。音声通話も今や電話回線ではなく、LINEのようにインターネット回線を使って行うまでになりました。
便利になった反面、情報の「所在」や「権限」、「やり取りを行う技術・仕様」が独占的であることに気がつく人が現れはじめます。

さまざまなサービスやツールを使って自由にインターネットを楽しんでいると思いがちですが、実はかぎられた企業にほとんどの情報が集まっている「中央集権的」な状態にあるのがWeb2.0の特徴です。
情報が集中的であるため、自然災害や人為的ミス、サイバー攻撃によるリスクも高まっています。
限られた企業の動向が世界中の人の人生に、決して少なくない影響を及ぼしてしまう現状を危惧する人たちが現れはじめても不思議ではありません。

Web3.0の時代:権力分散

Web2.0の問題を解決できると期待されているのが、本記事で紹介する「Web3.0」です。
米国の巨大テック企業GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)によって、ほぼ独占状態にある「情報」が個別に分散されることを理想としています。

Web3.0の中心になると目されている技術が「ブロックチェーン」です。
ブロックチェーンはインターネット上の「やり取りの履歴」を適切に記録していく技術で、ビットコインやイーサリアムといった暗号通貨の登場によって一気に注目されるようになりました。

ブロックチェーン技術を応用したサービスでは、複数のユーザーでやり取り履歴の情報が共有されます。
もし一箇所だけ異なるデータに改ざんしたり、不正なアクセスが検知された場合は、ほかのユーザーが持つデータと差異が生まれるため、すぐに気が付きます。

まるで、1つのボールを四方八方から紐で支え合って空中で保持したような状態です。
ユーザー同士が互いに監視し合うことで、独立性を保ったデータの存在を担保します。

「誰のものでもないが誰かのもの」という不思議な状態ともいえるでしょう。
Web3.0は、このブロックチェーンを活用することで実現を目指しています。

Web2.0が抱える「情報の中央集権性」を上手く回避しリスクを減らしながら、より良いインターネットへの進化が期待できる考え方です。

なぜこれからWeb3.0が流行るのか

Web3_流行る
ここからは、なぜWeb3.0がこれからのトレンドだといえるのかについて解説しましょう。
Web3.0へ上手く移行すると、次の4つのような変化がインターネットに起こると予測されています。

・人種や国境に規制されなくなる
・分散型ネットワークによるセキュリティレベルの向上
・P2P取引による仲介組織の排除
・自らのデータを自己管理できる

どれも従来のインターネットにはなかった大きな特徴であり、上手く移行できれば、今まで以上に手放せないものとなっていきます。
具体的に1つずつ見ていきましょう。

人種や国境に規制されなくなる

日本やアメリカといった国では、Web2.0でも自由にインターネットが使えます。
一方で、中国やロシアなどは、インターネットの利用に厳しい制限がかかっている国です。

例えば、ロシアは独自のネットインフラを構築しており、一部では「インターネット鎖国」とも呼ばれています。
中国は「グレート・ファイヤーウォール」という検閲システムがあり、GoogleやTwitter、YouTubeのような世界で当たり前に利用されているサービスへアクセスできません。

Web3.0で主流となるブロックチェーン技術は、特定の管理者や所有者が存在しないため、限られた組織が広範囲のネット利用を制限するといったことは不可能になっています。
 

分散型ネットワークによるセキュリティレベルの向上

セキュリティレベルの劇的な向上も変化の1つです。

ブロックチェーン技術は、暗号化されたコードが不特定多数のユーザーで共有されます。
不正なアクセスや改ざんが行われても、世界中に散らばったデータ同士で「検証」が容易にできるため、特定のサーバーや企業のPCを狙ってサイバー攻撃を行うといったことは不可能です。

データが複数に分散されているので、一箇所に集中したデータが大量に流出するといったリスクもありません

P2P取引による仲介組織の排除

ブロックチェーン技術は、個人や企業がサーバーを介さずにやり取りできる点が特徴です。
この特性を金融に活かしたのが「分散型金融」で、通称DeFi(ディーファイ)と呼ばれます。

DeFiは銀行のような中央集権的な組織を介さずに金融サービスが受けられる仕組みです。
特定の仲介業者をはさまないため手数料が発生せず、セキュリティにも優れています

不特定多数が個別で所持する「分散型台帳」に取引データやルールを保存し、取引はもちろん、価値そのものをユーザー同士で「承認」するため、安全かつ信頼性の高い金融サービスとして期待できるでしょう。

自らのデータを自己管理できる

特定のサーバーや仲介業者を介さないため、個人のデータを自分で管理するのがWeb3.0の世界です。

Googleは検索エンジンを無料で提供し、そこから収集したユーザーの検索履歴や行動履歴を自社のサービスに活用し成長してきた企業であるといえます。
Web3.0の時代ではそのような検索履歴や行動履歴といった個人情報を、独占的に取得し活用するのを防いでくれます

ブロックチェーン技術を活用したWeb3.0では、個人や企業が直にやり取りするため、そのデータも当事者同士でのみ管理・保管します。

Web3.0に関連する用語を紹介【技術・通貨・空間】

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Web3.0に移行するとどんな変化が起こるかについて解説したところで、ここからは具体的なWeb3.0関連の用語を紹介します。
Web3.0を形成する基本的な技術やそれを応用したサービス、合計7つです。

ブロックチェーン

ブロックチェーンを改めて解説すると、「情報を記録するデータベース技術」の1つで、ブロックという単位で管理されるデータが鎖(チェーン)のように連なっている形から、そう呼ばれるようになりました。

各個別のブロックには、直前のブロックの内容を示す「ハッシュ値」と呼ばれるデータがセットになっています。
途中でデータを改ざんすると、それ以降すべてのハッシュ値も変更しなければなりません。

ブロックチェーンは同じデータを複数の場所に分散して保管していることもあり、完璧に改ざんしきるのは、極めて困難です。

メタバース

メタバースとは、インターネット上に広がる三次元の仮想空間を総称したものです。
ユーザーは自身の分身である「アバター」を操作して、ほかのユーザーと交流したり、アイテムを揃えたりといった別世界での生活を送ることができます

メタバースは取引データの安全性や信頼性が高いブロックチェーン技術との相性がよく、これにはブロックチェーンが従来のデジタルデータに「資産性」を付与できるという特徴が関係しているのです。

ブロックチェーンを活かしたメタバースが構築されると、現実と似たような世界を作り出せます。
たとえばユーザーが作ったアイテムや建物、アート作品などは、ブロックチェーンによって「唯一のものである」ことを担保してくれるからです。

この「デジタルデータの資産性」が、Web3.0の価値を大きく左右する要素でもあります。

NFT(非代替トークン)

NFTとは、非代替性のトークンです。

トークン(token)とは直訳すると「しるし」や「象徴」といった意味で、デジタルマネーや決済に使われる認証デバイスのことを指すときもあります。
身近なものだと、個別IDやワンタイムパスワードを表示できるデバイスは「トークン」といえるでしょう。

「非代替性トークン」とは、「代えのきかないトークン」のことであり、唯一無二を証明するものです。
デジタルデータに「非代替性」を持たせるのは、従来のデータの考え方を根底から覆すものといっても過言ではありません。

NFTは、誕生したことだけでもたいへん画期的な出来事ですが、三次元仮想空間である「メタバース」との相性も抜群です。

Crypto(仮想通貨/暗号通貨)

Crypto(クリプト)は、ブロックチェーンの特徴を活用したデジタル資産です。
「仮想通貨」や「暗号通貨」と呼んだほうが一般的でしょう。

分散型台帳に取引データを記録し、仲介者を必要としない金融資産のやり取りが可能となるデジタルマネーの最初の形とされています。

DeFi(分散型金融)

DeFiとは分散型金融とも呼ばれ、銀行のような組織を介さずに金融サービスを実現できる仕組みです。

特定の組織が仲介しないため、これまでデメリットとされてきた事務仕事や非効率的ないわゆる「ブルシットジョブ」を排することが可能となっています。
取引にかかるコストを大幅に削減できるため、手数料もかかりません。

従来の銀行サービスを受けられなかった人々も、インターネットさえあれば金融サービスを提供できる可能性があるため、大きな期待が寄せられています。

DApps(分散アプリケーション)

DAppsは、「分散型アプリ」とも呼ばれ、ブロックチェーン上でソフトウェアを動作させる仕組み「スマートコントラクト」を応用したものです。

たとえば、これまでのネットゲームは銀行の例と同じように特定の組織が運営するものでした。
DAppsは、ゲームを構成するデータやゲーム中の行動履歴などを分散管理することで半永久的に稼働し続けられます。

これまでのような中央集権的な検閲性も持たないため、一方的なアプリのアップデートもできません
透明性があり、誰もがゲーム内のコードを検査可能なため、不正行為が簡単に検出可能です。

また、それらの操作ログもすべてブロックチェーン上に保存されます。
ゲームで例えましたが、金融系アプリやオークションプラットフォームなどもすでに開発が進んでいる分野です。

DAO(自律分散型組織)

DAOは「自律分散型組織」とも呼ばれる、ブロックチェーン技術を応用した中央管理者を持たない組織のことです。
DAppsの会社版と考えるとイメージしやすいかもしれません。

組織内には階層がなく、組織構成員の投票や合意によって従来の会社のような意思決定が下されます。
DAOには、構成員の承認がなければアクセスできない資金なども組み込むことが可能で、組織マネジメントの究極と評価する人もいるほどです。

透明性やオープンアクセスといった特徴はDAappsと似ている点も多いほか、外部の人材や物品なども発注できます。
過去の例ではスマートコントラクトをIoTデバイスに組み込み、故障時の修理対応や消耗品の自動発注などをオーナーなしで実行しており、日常生活のさまざまなサービスへも適応可能です。

まとめ:Web3.0の描く未来

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Web3.0は、ブロックチェーン技術により中央集権性を排している点とデジタルデータに非代替性を持たせている点が特に優れています。
どのような活用が見込まれるのか、その在り方についてもさまざまな論争が展開されていますが、これまで問題とされてきたプライバシーへの懸念や特定企業への依存も解決されるかもしれません。

現状ではまだまだ発展途上なため、明確に定義することは難しいところもありますが、実現された世界を想像するとワクワクするのも間違いありませんね。